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脳は平気で嘘をつく 嘘と誤解の心理学入門 植木理恵 心理学者 あらすじ

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はじめに 
人間はコンピューターと作りが全く違う。私たちは情報を客観的に正しく処理しているつもりでもそうではない。人の脳の認知エラーや、バイアス(偏り)について書かれています。

初対面の人と会うと人は主観によって客観的な情報が削られて、歪んだ情報がインプットされてしまう。自分の過去の経験から自分が見たいものだけで判断してしまう。しかも自分は「人を見る目がある」と過大評価しているので一向に見誤りが起こります。
個人的な出来事や、思い出に関する記憶は脳の「海馬」と呼ばれる部分に重要なデータとして数十年は保存される。この記憶が勝手な判断を下し、これを「直感」としてしまう場合があります。これは脳が基本的に節約志向の性質を持っているからです。私たちは毎日数えきれない情報を処理しているのでそれをいちいち脳に取り込んでいたら脳はすぐに疲弊してパンクしてしまうので対人関係においては「こんな感じの人はこう」と簡単なルールを作って情報を取捨選択している。このことで人を見抜く時に「この人は大体こんな人でしょう」というミスが生じる。なので人間の脳は節約志向であることを認め、自覚することがより公平でより正しい人間観察ができる。

第一印象の形成において一番の障害は「容姿」である。例えば美人ならばこの人は性格がいい、信頼できるというバイアスが働く。外見もそうだが顕著な特徴に引っ張られて歪んで評価をしてしまう。例えば一流大学出身の人は人格まで優れているように感じられたり、有名タレントの CM の商品をよく感じられてしまうことを心理学では「ハロー効果」と呼ぶ。仏頂面の人が「何か悪そう」と感じるのもハロー効果によるものです。関係性の距離も近すぎても遠すぎても中立的な判断をするのに影響します。

本は、ここでしばらく「脳」のこととは別の話題に反れます。不美人から美人の5段階でどのレベルが一番早く結婚するかという話、次に浮気をしやすい人、しにくい人という「脳」とは関係ない内容が書かれています。

次に男と女の脳の違いについて相対的に女性の脳は複数の事柄を同時に扱う能力「デュアルタスク」が高いことがフランスの研究で分かっています。これは右脳と左脳をつなぐ脳梁が女性の方が大きいので様々な事を同時にこなす情報処理や記憶力に優れています。しかしある意味、注意力が散漫になりやすい面がある。何か一つのことに集中する能力は男性の方が優れている傾向です。

人はなぜデマや情報に流されてしまうのか?それは人間は心理的に不安になりやすい。ポジティブな情報よりネガティブな情報の方が広がりやすい。女性の方が DNA 的に太古から巣を守ることが第一の責務なので不安な心理を持ちやすい。

人の脳は最初にこうだと思うとその後はその思い込みを支持するような、いわゆる都合のいい情報だけを集めて自分の先入観を補強していこうとする癖があります。これを心理学では「確証バイアス」と呼びます。この確証バイアスは思考のエラーで、自分の正しさを確かめるための情報ばかり集めるという間違いです。物事の本質を見極めるには多角的に対象を見て、いくつかの確証を確かめたのであれば、今度は反証もいくつか確かめる、そういう作業を繰り返すことで物事の本質が浮かび上がってきます。

人が人を見誤ってしまう原因は、見た目だけで判断してしまう インプット時の誤り以外に、思い違いの記憶によって事実を歪めてしまうアウトプット時の誤りがある。これを心理学で「アウトプットの誤謬」というように蓄えられていた情報がいつのまにか形を変え、誤った情報として扱われてしまうことはよく起こっています。これによって自分の誤った記憶によって自分が騙されてしまうことも珍しくないです。しかも会話する相手の言葉が引き金となって偽りの記憶を捏造してしまうことがよくあります。

ここから本は記憶の話が出たところで記憶を長持ちさせる記憶術の話になります。そして、1956年に認知心理学者のジョージミラーが人間の短期記憶についての研究論文で人間が瞬間的に覚えられる記憶数は7+-2ということが判明した。

次の章は、仕種で嘘は見抜けるのか。
仕種によって意味を読み取ることはできないことについて、上半身は脳に近いので訓練すれば表情、仕種のコントロールはできるが、下半身は脳から離れているので筋肉のコントロールができにくく、しばらくすると嘘の仕種は下半身に現れてくる。

次は社会生活において嘘をつくことは必要である。ユングは人間のかぶる仮面を「ペルソナ」と定義したが服装、化粧、職業や社会的地位、男らしさ、女らしさなどは「ペルソナ」の一種であり、嘘は社会生活を送る上で必要である。

次にフロイト的な無意識心理学は科学的ではないので、現代では当てはまらないところが多いが、フロイトの残した業績は多く存在し、信者も多い。

人が占いや新興宗教にハマってしまうのは、「あなたはこうですよ」と人間は断定されたい本能があり断定されることで救われたような気分になります。
人の弱みに巧みについてきて人の気持ちをコントロールするのが上手い人はこのメカニズムを利用するのが上手いです。

「自由連想法」(言葉を投げかけて何を連想するかで相手の深層心理を解明する)は現代では深層心理はわからないと考えられています。相手の発した言葉よりももっと確実に量計化できる、発した迄の時間を重要視してそれをデータ化して外堀を埋めていくように深層心理を浮かび上がらせるのが現代のアプローチです。インクのシミで連想することから深層心理を解明する「ロールシャッハテスト」は必ずしも深層心理には結びつかない事が数々の実験に証明されています。「バウムテスト」(木を描かせる)も何を描いたか、より描くのにかかった時間などを重要視しています。よって仕種はその無意識を探ることに意味はなく、仕種から人の心理はわからないという見方であります。そうは言っても大概の人は仕種に意味を見出そうとするが、その理由は人は見えないものに対する好奇心があるので霊魂や UFO 、UMAなど見えないものを見たい願望が存在するからであります。その神秘性で占いやスピリチュアルは人を惹きつけます。

誤解されやすい人の処方箋は第一印象はポジティブの印象(この人アホだな、何かにぶいな、など愛嬌の面もある)は覆りやすく、ネガティブな印象「愛想がない」「冷たい人」などは覆りにくい。なのでとにかく「笑顔」が大事である。笑顔は心理学で「無条件の肯定的関心」と言って相手を安心させて心を心を開いてくれる効果があります。次に相槌を打つタイミングが大事で被せ気味にすると決して悪い印象は与えません。

タフで人付き合いのいい仕事人ほど鬱になりやすい。
几帳面な人ほど自分を几帳面と思っていない。

歯の噛み合わせと心の意外な関係は、噛み合わせの悪い人は鬱傾向にある人が多い。子供で顎が歪んでる場合はキレやすい子が多い。ということが判明した。

物分かりが良さそうな人が意外に頑固な人が多い。人の話を聞くのは上手いが、自分のことはあまり話さないから自己開示が少ないので、このような人は安易に信頼してしまうのは要注意です。著者の植木さんは経験上、聞き上手な人には頑固な人が多いと言っています。

「逆に」と「要する」にという単語よく使う人は相手に良い印象は与えないことが判明してます。

普通に見えて危うさを孕んでる人、犯罪者達は共通して自分では物を決められない特徴があります。意志がある人は「ダメなものはダメ」と思え、意志が弱い人は物事が決められないと先延ばしになりがちで嘘やごまかしが少しずつ重なることによって最終的に追い詰められておかしな行動に出てしまう。

意志薄弱の子は3から4歳の育て方が大事でその時期に親が子供を不安にさせてしまうと将来意志薄弱の人間になりやすい。発達心理では子供の自主性や社交性は3から4歳の育て方で決まってしまうのが通説です。小学校に入るぐらいまでは過保護でも大丈夫であると言っています。

一般の人で体にピアスやタトゥーを入れてる人はイライラ、憤り、不安を抱え込んでいる人が多いです

本当の自分の見つけ方は、「自分探しの旅」は思考が自分の内へ内へと向いてしまい、他者との交流がおろそかになる。自分のことだけを見ていては本当の自分は見えてこない。他者と交わることで自分の存在や立ち位置を確認することができて、これを心理学で「社会的比較理論」という。

高齢になっても衰えない能力は、「結晶性知能」で年をとっても興味や感動を失われなければ過去の知識や経験の蓄積を結晶化させて、決断や判断を下していく力は、歳を取るほど磨かれていく。自分のことばかり考えて自分ばかり得をしようとする人は、結晶性知能は伸びない。

怒ってる人を鎮める効果的な対応は、日本よりアメリカの方がクレームに関しては上をいっているのでクレームの処理や考え方は日本より進んでいます。クレーマーの怒りを鎮めるにはクレームを回避するのではなく、クレーマーに「接する」ことが最も効果的であります。アメリカではいくつかマニュアル化されています。

リーダーに求められる「メタ認知能力」は自分の思考や行動を客観的に把握し、全体を俯瞰的に捉える能力であります。みんなが右へ行こうとしている時に「ちょっと待って!左だよ」とある意味 KY の気質を持つ必要があります。リーダーとその集団が一番良い方向に進む集団の人数は4から5人です。
リーダーのイメージは行列の先頭を行くタイプと思われがちだが、メタ認知能力があるリーダーは行列で一番後ろを歩くタイプである。
メタ認知能力を高めるには何より自分を客観的に見ていることが大切で、感情に振り回されず周囲の状況を見ながらその場に適した判断を下していくことです。「自省」を習慣化することが第一歩で、何か問題にぶつかったり解決したりそこから何を学んだかを考えることが大切です。最も簡単な方法は日記をつけてその日にあった出来事を振り返ると、メタ認知スキルが向上すると考えられている。

集団でバランスがとれるのはトップに情熱的な人「熱血漢」な人で、参謀にメタ認知能力の高い人が一番バランスがいいです。

伸びる人、伸びない人の見分け方は何かの課題を与えられた時に現れる「志向」を見ればよく、「物量志向」「状況志向」「方略志向」の三つで物量志向は成功するまでに何度でもチャレンジして諦めないタイプで臨機応変にかける。状況志向は何でも周りのせいにするタイプ。方略志向は何より工夫をするタイプで方針や戦略を転換させる柔軟性を持っているタイプで、伸びる人はこの方略志向を持っています。

まとめ

人は人をコンピューターのように弁別できなく、人間は毎日のようにエラーを犯すが、そのエラーにこそ人間の本質的な面白さがあります。脳について学べば、人間の良さ、人間らしさが分かってきます。なので脳は平気で嘘をついても、バイアスが働いても全然いいのです。

著者 植木理恵 1975年大分県生まれ 心理学者臨床心理士 お茶の水女子大学卒 現在は慶応義塾大学で講師を務めるとともに都内総合病院心療内科にてカウンセリングを行う。

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