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おとなの教養 池上彰 あらすじ

初めに

現代の教養をさらに深掘りして過去、現在、未来を通して自分を知り、リベラルアーツを身につけます。2011年3月11日東日本大震災で福島の原発報道で放射能の単位でベクレル、シーベルトという単位がよく出てきましたが、放射能の単位のキュリーはいつのまにか変わっていました。わからない単位が飛び交う中どれくらいが人体に危険なのか、そうじゃないのか専門家や知識人が論争しているのでそれを聞いている司会者や私たちも余計に不安になってしまいました。その状況を見た著者が総合的な知識をもっと各人は吸収すべきだという使命感からたまたま東工大のリベラルアーツセンターの職の誘いが来たので引き受けました。リベラルアーツとはギリシャローマ時代に源流を持ち、ヨーロッパの大学で学問の基本とした7科目のことで文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽です。リベラルアーツのリベラルは自由、アーツは技術、学問、芸術の意味です。なのでリベラルアーツは「人を自由にする学問」ということです。そこで著者の考える現代7科宗教、宇宙、人類の旅路、人間と病気、経済学、歴史、日本と日本人を解説していきます。

第一章 宗教

いきなり宗教となるとアレルギーになると感じる人も多いと思いますが、ほとんど知らないと私でも著者は各宗教の成り立ちからわかりやすく解説されています。そこから派生して現在の様々な宗派に至るまでコンパクトにまとめられています。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という一神教は砂漠から生まれた宗教です。厳しい自然環境では人間はすぐに死んでしまうので厳しい神の存在が考えられました。日本は「八百万の神」やおろずのかみといって自然のあらゆる所に神様がいると信じられたので多神教です。インドは暑さで多くの生物が死んで自然が豊かなので次々に生物が生まれてくるから輪廻転生という発想が生まれた。よって各地の自然環境によっていろんなタイプの宗教が生まれました。

3000年以上前、今のイスラエルがあるパレスチナの地にユダヤ人が移り住み、その一部はエジプトにも移住しました。しかしユダヤ人はエジプトで大変な迫害を受けます。そこでモーゼ(ユダヤの神が指導者として選んだ)と共にエジプトを脱出した。そしてカナンの地へ戻った。カナンの地はパレスチナ地方のこと。エジプトからカナンの地に脱出する途中、モーゼは唯一神ヤハウェから、10カ条からなる神との約束を授けられました。これが(十戒)です。神とユダヤとの間に契約が結ばれました。ヤハウェは神の意味です。そしてパレスチナでイスラエル王国を建設しました。ユダヤ教は罪に対する罰や生活の規範が細かく決められてます。このユダヤ教の中から独自の教えを広める人がイエスです。
ユダヤ教はユダヤ人こそが神に選ばれた特別な民族であると考えますから、神に救われるのもユダヤ民族だけという考えです。しかしイエスは信じる人は誰でも救われると説きました。こうした行動が反感をかって捕われてゴルゴダの丘で十字架にかけられました。イエスはもともとユダヤ教徒でしたのでキリスト教の神もヤハウェです。英語でゴッドです。
ユダヤ教とはあくまでユダヤ人だけが救われるという宗教なので世界中に広がりませんでした。キリスト教は全ての人が信じれば救われるということですから場所、民族を問わずどんどん広がっていきます

キリスト教の聖書の新約聖書は、マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書の4つから成ります。神がイエスをこの世につかわされたことによって、神と約束したと考えて新約といい、キリスト教から見るとユダヤ教の聖書は古い約束なので旧約聖書という。キリスト教のシンボルは十字架ですが、初期は魚の絵でした。
今から1400年ほど前、アラビア半島にムハンマドという男がいて洞窟で瞑想していたら突然何者かに羽交い絞めにされて「今からいう言葉を声に出して読め」と命じられました。ムハンマドは神からの言葉と認識して、最初の信者になりこれがイスラム教の始まりです。キリスト教で言う天使ガブリエルです。天使ガブリエルはマリアに受胎告知した天使です。ムハンマドが亡くなり、戦乱で神の言葉を伝承出来なくなる危機感からコーランという書物が出来ました。コーランによると私たちには右側と左側の肩の上に一人ずつ天使がいて行いを見て記録している。その人物が神様のところへ引き出された時にその記録が持ち出されて天秤にかけられ良い事の方が少しでも多ければ天国に、悪いことの方が多ければ地獄に落ちる。これがイスラム教の考え方です。アメリカでもイスラム教徒がとても増えてます。アメリカ社会は貧富の差が非常に激しい社会です。格差に苦しんでいる人たちにはイスラム教の説く神の前では全員が平等であるという教えに惹かれてキリスト教からイスラム教に改宗する人が増えています。

仏教は、イエスが生まれるよりずっと前の紀元前5世紀頃、古代インドで当時の釈迦族の王に息子が産まれました。ゴータマシッダールタです。29歳のときに修行に入り、菩提樹の下で悟りをひらいて、弟子も増えていきました。煩悩からくる様々な苦しみから逃れようという仏教がアジア各地に広まっていきました。仏教は仏の教えであり仏とはブッダを指します。ブッダのことをお釈迦様とも言います。
ブッタの教えが中国に広まるとブッダには仏陀という漢字が当てられます。やがてこの漢字が日本にも入ってきて仏陀の教えとなり仏さまという言い方になります。お釈迦様という呼び方はゴータマシッダールタが釈迦族の出身だったからです。

宗教は変化する
イスラム教はスンニ派とシーア派に分かれてます。
シリアではアラウィー派があり、イスラム教なのに輪廻転生の考え方です。キリスト教は東ローマと西ローマに分かれると、東ローマはギリシャ正教になり、東方正教会にかわり、西ローマはカトリックになります。そしてこのカトリックに抗議する人が現れプロテスタントが生まれます。仏教もブッダが亡くなったら上座部仏教と大乗仏教になります。上座部仏教は日本に来て様々な仏教に変わります。
宗教紛争は宗教そのものの違いによる争いはほとんどなく、よくみると土地や資源をめぐる争いです。

第二章 宇宙

地球は宇宙の中心で止まっていてその周りをあらゆる天体が回転するという説で天動説と思われていましたが、1609年ガリレオが天体望遠鏡を作って宇宙を見ると木星の周囲に四つの衛星がありそれが木星の周りをぐるぐる回っているのを見て、ということは地球もどこかの軌道を回っているかもしれないということ気づきました。ガリレオよりも前に同じように気づいた人物がコペルニクスでした。17世紀になるとニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を導きました。
キリスト教が支配していた社会では地球が宇宙の中心であるという天動説が協会の公認の考え方でしたのでガリレオもキリスト教の教義に反するとして宗教裁判にかけられ地動説を捨てるように命じられます。
宇宙に関して大きな発見をした人物がアメリカの天文学者ハッブルです。彼は1929年に巨大な望遠鏡を使って宇宙が膨張しているということを発見しまし。音にドップラー効果というものがありますが、光も同じです。宇宙の様々な星が動いてる時に、近づいてくる星から出る光は青みがかって見えるのに対して遠ざかっていく星から出る光が赤みがかっているのです 。ハッブルが巨大な望遠鏡で宇宙を調べてみると銀河系の外にある星はどれも赤みがかっていることがわかりました。赤みがかっているということはどの星も地球から遠ざかっているということです。あらゆる方向にある星が地球から遠ざかりつつあるということは宇宙は広がっていってるのですこのように考えて宇宙膨張説を提唱しました。
アメリカの物理学者ガモフは時間を戻していくと宇宙はある一点に集まるのではないかと考えました。このアイディアは当時は荒唐無稽に思われみんな馬鹿にしました。その時にガモフの考えに対してそれじゃあまるで ビッグバンじゃないか、とからかった学者がいました。ビッグバンとは大爆発を意味します。まるで宇宙が大爆発で始まったとでも言うのか、ともともと悪口だったのです。それが今では宇宙論の常識になっているビッグバン理論の名称になりました。ビッグバン理論というのは元々は悪口から始まりました。

第三章 人類の旅路

進化=進歩ではありません。進化とは劣ったものから優れた物へと進歩することではないです。その時の環境に適応するように突然変異しただけです。ダーウィンが生きた19世紀はイギリスではまだキリスト教が強かったのでキリスト教はすべての生き物を創造したという考えですので進化論の考えは受け入れられませんでした。神の存在を否定する事に等しいからです。1996年に当時のローマ法王ヨハネパウロ2世は進化は仮説以上のものであると事実上進化論を認めました。
なぜ黒人白人黄色人種など様々な肌の色の人が生まれたのかといえばそれは突然変異を繰り返す中で紫外線をなるべく吸収しないようなタイプと吸収しやすいタイプに分かれてきたからということです。

第四章 人間と病気

昔は花粉症はありませんでした。2億年前哺乳類が誕生して、当時吸血ダニに苦しめられてました。その後、免疫ができて現在の日本のような清潔な環境はかつての免疫システムが宝の持ち腐れになります。そのためにたまたま外から入ってきたものを敵と見誤って攻撃するということが起きるようになってしまいました。この時吸血ダニと勘違いされるのがスギ花粉なのです。スギ花粉が入ってくると人間の免疫システムが誤って作動し吸血ダニ退治の物質を出す。そのせいで目がしょぼしょぼしたりくしゃみをしたりすることになり花粉症が出てきました。

現代的な生活がもたらす病気の一つが乳がんです
乳がんはメラトニンというホルモンと関係している説があります。このメラトニンにはがん細胞の増殖を抑制するという働きもあるということが分かってきました。メラトニンが分泌されにくい環境にいると乳がんにかかりやすいということです。
抗生物質はインフルエンザウイルスには効かないです。抗生物質の服用はあくまで細菌の感染から身を守るためであってインフルエンザウイルスそのものに対して効果はないのです。インフルエンザの歴史として避けて通れないのはスペイン風邪です。スペイン風邪の最初はアメリカです。第一次世界大戦でアメリカからフランスに渡りイギリス、ドイツにもこの病気が一気に広まりました。戦争中ですから自国の兵隊が風邪でバタバタ倒れているのことなんてことが相手側に知られるとまずいので秘密にしました。しかしスペインは中立国で戦争にさんかしてなかったので秘密にする必要がなく公表しました。だからスペイン風邪という名前がつきました。スペイン風邪で敵味方大量の人が死んだので戦争を続けることができずに第一次世界大戦は終わりました。
スペイン風邪の正体は1997年アラスカの永久凍土からスペイン風邪で亡くなった遺体から鳥インフルエンザの遺伝子が見つかりました。
新型インフルエンザのほとんどが中国南部の農村地帯で生まれています。そして豚に感染します。そして人間に感染します。というのも中国の農村地帯では人間と豚が同じ屋根の下で暮らしてるからです。

アメリカ大陸の歴史にも病が関係しています。イギリスのピューリタンと呼ばれるキリスト教徒達がアメリカ大陸に渡りました。イギリスの迫害から逃れるためです。そこに先住民インディアンが住んでいました。ヨーロッパから西に行くとインドだと思ったらアメリカ大陸でしたのでそこにいる人達をインディアンと呼びました。するとイギリス人が運んだ病原菌で先住民が次々に死んでいき、ピューリタン達は神から与えられた土地と勘違いしてアメリカができました。

第五章 経済学

国富論のアダムスミスは市場で競争が自由に行われることが経済にとって重要だと主張しました。やがてマルクス経済学(資本論)を打ち立てました。資本主義が持っている法則を読み解いた上でその法則に従えば、最終的には限界に達して社会主義が樹立されると考えた。彼の理論に基づいてレーニンや毛沢東が社会主義革命を起こしまた。その後レーニン、スターリン、毛沢東、金日成が勝手な解釈で社会主義国家をつくり、失敗しました。マルクスに対して経済政策を適切に行えば資本主義の欠陥を補った上で十分にうまく回すことができると考えたのがケインズです。ケインズは財政赤字を出しても大丈夫と考えました。国が借金をして公共事業をすると、様々に波及効果でその効果は公共事業に投じたお金よりも大きくなると考えました(乗数効果)累進課税もケインズが考えました。しかし現実はケインズが考えたようには政治家は行動しなかったので「ケインズは死んだ」とまで言われました。そこでアメリカのフリードマンが「新自由主義」政府の規制は出来る限り撤廃したほうが経済はうまくいくと考えましたが、格差を拡大させました。

第六章 歴史

なぜ四大文明が歴史に刻まれたかは、文字やパピルスなどの記録手段があったからです。南米やアフリカにも文明は生まれてますが、記録手段がありませんでした。今でも様々な争いが起きています。争いなどが起こったときに記録していれば愚かさ、代償を学ぶことができて争いは減っていくのですが、学ばない場合は何度も争いは繰り返されます。

歴史の真実は変わります。聖徳太子と言う言葉は消えつつあり、厩戸皇子になり肖像画も教科書に載っていません。鎌倉幕府の成立も1185年です。縄文時代と弥生時代の関係もかつては弥生時代に農業が始まると習いましたが、縄文時代の三内丸山遺跡が青森で発見され大集落があり、文化がある事がわかりました。

歴史を知らないと私たちは愚かな失敗を繰り返します。歴史に学ぶことで失敗を未然に防ぐこともできます。「愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ」という言葉もあります。自らの経験のみに頼るのは愚かなことである。他人の経験を記した歴史に学ぶべきだということです。

第七章 日本と日本人

日本の名前の由来には大きく二つの説があります。一つは太陽の元の国ということから日の本となりそれが日本となったという説。もう一つは対中国との関わりの中で中国大陸から見て太陽が昇るもともとの場所という意味で日本になったという説です。

日本人という呼び方はいつ決まったかと言うと、太政官布告以前は国籍という考え方がなかったのです。日本人と外国人が結婚したらどうなるんだ、と明治初期にこういう想定をした時初めて国籍という概念が生まれてきたのです。日本人とは日本国籍を持った人のことです。公式の意味で日本人が誕生したのは1873年からです。

まとめ

おとなの教養という題ですが、著者は丁寧に成り立ちから解説されているので高校生くらいから十分理解できます。それぞれの分野は表面的には高校や大学の一般教養なのだがそこからさらに深く解説されているから教養がより一層深まります。単に受け取るだけではなくそれを現代に生かし、より良い社会を作り、より良い人生を築いていく。それがリベラルアーツというものの価値なのだということが実感できます。著者ならではの視点での解説部分は他の同様の本とは違う学びがあります。

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