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第五の権力 Google には見えている未来 エリック・シュミット ジャレット・コーエン

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はじめに

インターネットは世に出てまだ時間が経っていません。なので人間がその手でつくっておきながらまだ十分に理解できていません。無数のウェブサイトが存在して有益な情報もあればいじめや差別、暴力、ポルノなど一つの箱の中に無法空間が広がっている。一瞬で地球の裏側の人と交流ができて様々な価値観が混ざり合うことで新たなアイデンティティを作り出している。技術が発達して通信速度が日々進歩していて、SF 作品で出くるようなことが現実になってきていて、それを実感し期待も日々大きくなっています。少し前では貨幣が流通していたが今では電子マネー、スマホ決済など仮想であったものが実際に世の中の変化につながっている。この本はこのまま広がりつつあるインターネットが世の中をどうか変化させていくのか、それによる影響が書かれています。昔は国家やエリート層に集中していた権力が一般の人々が発信する言葉の力が大きくなってきたので普通の人も力を手に入れつつあります。こうなることで世界は安全になるのか危険になるのか誰も経験していないのでわからない。そんな状況でイラクのバグダッドに Google の二人の重要人物がテクノロジーを復興に役立てるために訪れて、戦争後のこの土地での状況に驚いた。イラク市民はモバイル機器を様々な人が利用していて、この市民社会が力を合わせればどれほどの大きなことができるかコネクティビティ(誰もがいつでもどこでも繋がっている世界)の広がりを考えると疑問が生まれた。

将来は市民と国家どちらが強くなるのか、

技術のせいでテロリズムを実行しやすくなるのか、しにくくなるのか、

プライバシーとセキュリティの関係はどうなるのか、

デジタル新時代に生きるにはどれだけの犠牲が伴うのか、

誰もが繋がる世界で戦争や外交革命はどう変わるのか、

市民に有利に形勢を変えるにはどうすればいいのか

壊れた社会を再建する際に技術を使ってどんなことができるだろうか

第五の権力、p12

GAFAの力がますます大きくなり、各分野での影響を理解する必要があります。中国がサイバー攻撃し、ウィキリークスが機密情報を流し、アラブの春では SNS を通して市民が立ち上がり革命が起きて世の中の人がおののいた。このような動きが未来についての考えや視点や可能性を示した。我々はこれからどのようにインターネット技術を適用、活用していくべきかについて語る。技術のがもたらす影響、変化は避けることはできないが、ある程度はコントロールできるので未来に何が起こるかは私たちにかかっている。

第一章 未来の私たち

現実世界はより効率的になる。アフリカの漁師を例にしても今まで適当に魚を取っていたのがスマホで必要な数を把握してその数だけ取ればいいので腐らせたりする心配がなく乱獲の危険もなくせる。

私たちはダイヤルアップといった段階を経て高速通信に徐々に導入してきたが未来では今まで使用して来なかった地域の人は一気に高速通信に到達する可能性があり突然社会を劇的に変える可能性がある。

3D プリンターは途上国ではすぐに必要なツールができるので調達する手間がなくなるし、先進国では日常生活がより効率化する。(ルンバや Google Homeなど)音声入力で文字入力のスピードが上がる。医療でも身代わりでロボットを動かすことができるダヴィンチなど。ビジネスでは世界各国と交流するのにポケトークなど瞬時瞬間翻訳が可能になる。デジタル決済など効率化する。これにより淘汰されていく分野もあるだろうが、眠っていた能力を見出す可能性もある。例えばアフリカの奥地はデザインに優れている国があるかもしれない。教育格差が縮まり地方でも都市部と同様の教育が受けられる。自動運転で物流も効率化する。体の管理もしてくれて各人に合ったリズムでルーティンを設定してくれたり自分に合った薬や飲み忘れなどもなくすこともできる。

第2章 アイデンティティ報道プライバシーの未来

今日オンラインのアイデンティティは表面上にしかわからないが、ネットの個人データがオンラインのプロフィールと関連付けられたらオフラインのアイデンティティがオンラインにそのまま投影されてくる。国家としては隠れたままの正体不明の市民を野放しにしておくのはリスクなのである。

政府は市民にいつのまにか行動を撮影されていたり不正行為は今まで通報するのに手間がかかっていたが Twitter や動画で即座に通報できるので社会はより良い方向に進んでいく。

個人レベルでは誹謗中傷などする方もされた方も内容がネット上でデジタルタトゥーの形で一生涯残ってしまう。

プロフィールを改ざんされるリスクもある。それ防止の保険も出てくるかもしれない。

ウィキリークスのジュリアンアサンジのような情報公開はプラスになる人とマイナスになる人がいる。情報が氾濫しすぎて信憑性がわからなくなるからです。政府としては自国の都合の悪い情報は嫌悪感を示すが敵対する国の情報なら奨励するという矛盾した方針を取ってしまいます。

情報を得るのもテレビからでは少し遅れる。ずっとテレビを見ているわけでもないのでスマホの方がリアルタイムにニュースが受け取れるのでメディアよりも個人が重大ニュースを拡散できる。なのでこれについていけないメディアは淘汰されていくだろう。報道機関による偏った放送も今のままでは生き残っていくのは厳しくなるだろう。新しいグローバル市民のニーズの変化に合わせていく必要があります。コネクティビティが広がれば報道の自由がない国では影響は大きいので、力の偏りを正すことができて、世論や政治を動かすこともできる。開かれた民主国家では表現の自由が保障されているので市民は積極的に発信することができる。しかし若気の至りで過去の犯した過ちもいつ何時表面化され自らの地位を脅かすか分からないリスクがある 。悪い良いも悪いもPC 、スマホなどにマルウェアや盗聴機能がインストールされてしまえば政府に何を企んでいるか把握されるし、ネットで政府に都合の悪いキーワードを検索すると即座に知られてしまう。

第3章 国家

将来国独自のインターネットのフィルタリングによりインターネット上にも国境ができるだろう。現実世界に似てきます。ビザも必要になってくるでしょう。インターネットのバルカン化になるかもしれない。今でも三つのフィルタリングがある。その一つは中国です。国家レベルの規制が「露骨型」である。その次は「及び腰型」でトルコが規制のレベルは高い。もう一つは「政治的、文化的に容認された型」です。
2011年にイランがハラールインターネットの計画を進め YouTube に変わる国営の動画サービス「メヘル」を立ち上げた。中国には「万里のファイアウォール」がある。北朝鮮唯一の公式携帯電話会社のコリヨリンクに75%を出資する大株主はエジプトのオラスコム。イランではファーウェイ(華為技術)が入り込み携帯電話市場を支配している。
未来の途上国はコネクティビティへの長期投資を求め投資国との関係を深めていく。よって新しい協力関係、同盟関係ができつつあり、多国籍国家の状態になる。

知的所有権保護に関する国際基準を施行する意欲に欠けるのは中国、ロシア、インド、パキスタンです。将来は仮想国家が生まれ、現実国家を脅かす可能性がある。イラン、トルコ、シリア、イラクに散らばるクルド人は仮想独立に向けて動き出すかもしれない。スペインのバスク分離主義勢力、グルジアのアブハズ民族主義勢力、フィリピンのモロイスラム解放戦線など新しい息を吐くかもしれない。

サイバー攻撃は現在は主に諜報目的(システムへのアクセス、侵入、情報入手に偽情報の流布)だが具体的に旅客列車脱線、水道汚染、送電網の遮断などするかもしれないがそこまでエスカレートしないと Google は楽観視している。サイバー攻撃が国家にとって理想の武器で誰が攻撃しているか探りあてるのが難しい。ロシアは気に食わないだけで Skype 発祥の国エストニア(インターネットの活用が最も進んでいる国)にハッカー攻撃をした。
ネットが戦場に新たな冷戦(cold war)からコード戦争(code war)になる。

中国のサイバー攻撃は特に洗練された能力を持つ。2009年 にはGoogle を含む数十社を狙った。米中間の産業スパイは全員当該産業の正式な社員であった。隙あらば利益を貪ろうとする一般人であった。

ゼネラルモーターズのハイブリッドカー研究の秘密を中国の奇瑞汽車に売ろうとした。
アメリカ大手の塗料皮膜メーカーバルスパーに秘密の調合を中国に売ろうとした。
デュポンの科学研究者は中国の大学に売るつもりで有機 LED の情報を持ち出した。
中国企業は国家によって所有されるか強い影響下にあるのでサイバー攻撃を推奨している。

国家は現実世界の内外政策だけを考えていれば良かった時代を懐かしむようになるだろう。仮想世界で現実世界と同じ政策を取れば良いのなら国家運営がそう複雑になることはない。だが国内を統治し、海外に影響力を及ぼすことが以前に比べてずっと難しくなっているという事実に国家は向き合わなくてはならない。

第五の権力,p187

第4章 革命の未来

インターネットがもっと広がると革命がかつてないほど簡単に頻繁に発生するようになる。若者が長年の不満や懸念を根気と信念を持って解決しようとする。女性も恐怖の壁を打ち破り、ためらわずにデモなど頻発する。パートタイム活動家や匿名の活動家も増える。民衆は抑圧的政権や重要情報を隠蔽する政府にオンラインで抗議を続け、いつ革命が起こってもおかしくない状態になる。全く別々の人種も言葉も違う人同士がジェスチャーインターフェースやホログラムストリーミングの音声翻訳に助けられて繋がって革命運動のメッセージは広がっていく。2011年のエジプト革命ではロサンゼルスの20代の大学院生ジョンスコット=レイルトンが始めたツイッターがエジプトの民衆蜂起に関する情報源として多くの人に利用された。
オンラインで抗議活動が行えると、幅広い支持者を集められるし、部外者も暴走することが起こり得る。手に負えなくなる懸念がある。革命家は仮想と現実の二重戦略を講じなければ成功はおぼつかない。信頼できるリーダーは出てきずらくなるだろう。アラブの春のような革命はもう起こらないでしょう。何故なら、アラブ地域独特の性質があり、数十年に及ぶ統一の試みやアラブの一体感、類似の政治体制、古くからの宗教ネットワーク、モスクが人々の集会所となっているので宗教的結束が容易であるからです。しかし他の地域はこうした要素はない。
中国の将来は決して明るくなく社会経済問題が山積し民族問題、閉ざされたシステム、コネクティビティが広がるうちに、国民の要求が紛失した時に抑えこめなくて国家がコントロールしきれなくなるのだ。中国経済減速があり中国人民がリスクを犯す意思があれば今後数十年の間に何らかの革命が起こるかもしれない。

第5章 テロリズムの未来

テロ集団は技術を利用することでかえって脆弱になるためテロ首謀者の数は減るが、危険な存在には変わらない。未来のテロ集団は洗練された安全なソーシャルプラットフォームを独自に開発し、こうしたサイトを通して世界中に分散した下部組織間で情報を共有しコミュニティを形成していく。携帯電話会社やインターネット企業への侵入も増やしていく。ある過激派集団は携帯電話会社からの人材採用に力を入れていた。
テロリストを牢屋に入れても技術が発達し携帯電話がもっと小型化されれば牢屋に持ち込まれて利用されてしまう。今でもこういうことはしょっちゅう起こっている。なので捕まえたからといって安心できない。テロリスト養成も中東やアフリカから逆に技術を学びにヨーロッパに逆にやってくるかもしれない。街のカフェなどで技術を習得するかもしれないので発見が難しい。テロリストがますますネットを利用するようになると逆に発見されやすくなるかもしてない。あらゆるデジタル活動が瞬時に結びつけられるリスクが大きいのです。コンピューターは膨大なデータの中から見つけ出すのが得意なのでアルゴリズムなどによって正確な予測や相関関係を簡単に突き止めることができる。かといってテロリストは携帯電話の使用を完全に止めることはできないし、取り巻きの仲間もしかり。テロリスト一人を捕まえればネットワークを一網打尽にできる。逆に携帯も全く使わない人は、何かしらやましいことがあるかもしれないと考えられて、テロ対策でリストに載ってしまうかもしれない。ウサマ・ビンラテ”インは都市部の邸宅なのに通信回線が繋がってなかったので怪しまれました。
過激派は身元が割れないように複数の SIM カードやオンラインアイデンティティを使い分け、難読化ツールを駆使して痕跡を消す。警察も惑わされずに見つけなければならない。人質にその日の新聞を持たせて写真を送りつけたりするのもデジタルの専門家が真偽を見分けることができるため、偽物だとばれると、過激派集団のイメージが損なわれて資金集めや人材確保が困難になるだろう 。Google のシンクタンク Google ideasでは情報通信技術が担うことのできる役割を念頭において世界各地での過激派について研究している。過激派になる多くは不満や貧困、疎外感などの若者が感化されやすいので過激主義に走らないように空間と充実した選択肢を与え携帯電話を通じて不満を抱いている若者に手を差し伸べることは最善である。未来のテロリストは現実と仮想の両世界に暮らさざるを得ないのでオンラインではキーワード検出や有力テロリストの顔認証ソフトの利用で完全に隠れるのは困難であり支援者もしかりです。

第6章 紛争と戦争の未来

インターネットの普及により科学でいう「特異点」(物事があまりにも根本的に変化するために古い法則が崩壊し知識がほとんど通用しなくなることが起こってくるだろう)に現在位置している。戦争が自動化になり政府が気に入らない民族や集団などにはニュースや経済、社会的価値のあるプラットフォームなどへのアクセスアクセスを遮断、コンテンツを消去することは簡単になります。「仮想アパルトヘイト」のようなのも可能です。こうしたマイノリティー集団を対象とした電子的偏り政策は当たり前になるだろう。政府もデジタル空間の出来事は「実は起こっていない」と言い張れるので都合がいい。これは国家だけに限らず技術があれば嫌がらせは個人でもできます。オンラインで差別発言などは、している本人にはそれほど実感がないので嫌がらせはより頻繁に行われ、より過激化する。デジタル時代には善者と悪者を区別するのは困難になってきます。よってマーケティングの優劣が被害者か加害者の力を左右する。マーケティング戦争は実際の戦争よりも早く始まり、考え方を折り合わせるどころか逆に増幅してしまう恐れがあります。犯罪や残虐行為は自動的にクラウドに保存され永久的に残るので確固たる証拠になり、犯罪予備軍に対する十分な抑止力となり暴力のレベルを下げる効果もあるでしょう。現場レベルではでアメリカ軍の軍用機の31%が無人機で2005年の5%に比べ劇的に増加している。

第7章 復興の未来

復興に関してはデジタル化による恩恵は特に大きい。将来は仮想政府機関があれば情報をデジタル化してクラウドに保存しておけば個人情報だけでなく政府のバックアップまで取れるようになる。たとえ都市が壊滅的な被害を受けても省庁が物理的に再建するまでの間、一部の機能をオンラインで提供し続けることができます。災害や紛争の後に起こりがちな無駄や汚職も軽減される。危機後の移行期間も短縮し前よりも暮らしやすく強靭で回復力に富む社会を築くことができる。

まとめ

これから多くの人が仮想世界に足を踏み入れることは全体的にプラスに働くだろう。人類の英知と創造性をより多くの人と共有することで人類全体としての利益は指数関数的に増していく。しかし不安要素もまちがいなくある。この本を読んで少しでも不安要素を少なくする努力をしなさいという警告にも感じました。世界的企業のトップはジャーナリストでもあるかのように世界全体を隅々まで調査していることにさすがだなという印象です。

著者 エリック・シュミット Google 会長。1955年生まれ。2001年から2011年まで Google の最高経営責任者 CEO を務め創設者のサーゲイ・ブリン、ラリーペイジと共に Google の技術や経営戦略を統括してきた。

ジャレット・コーエンGoogle のシンクタンク Google Ideas の創設者兼ディレクター。1981年生まれ。史上最年少の24歳で米国国務省の政策企画部スタッフに採用され2006年から2010年までコンドリーザ・ライス、ヒラリークリントン両国務長官の政策アドバイザーを務めていた。

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