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悪について誰もが知るべき10の事実 ジュリア・ショウ 要約、あらすじ

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はじめに

心理学者である著者は本書を通じて悪が意味するものを考え直し、作り変える機会を与えることが目的です。悪とは主観的なもので、誰かが悪というレッテルを貼ったり考えたりしてそれが悪となります。人は誰でも罪人になりえます。極悪人も人生のほとんどを普通の人で過ごして突然悪人になるのです。一度だけ人を殺す決定をしたから人殺しと呼ぶのは短絡的です。暴力的な映画はますます増えて私たちの日常に入り込んでいます。悪を科学的に解明して、悪に共感してもらうことが著者の目的です。

悪の神経学

悪について語る時、ヒトラーのことを考えます。ヒトラーの動機、人格、行動については他の著書で沢山示されている。本書は違った切り口でアプローチする。

過去に戻って赤ん坊のヒトラーを殺害しますか?

ヒトラーはごく普通の子供でした。精神にも異常をきたしていませんでした。どうしてヒトラーは恐ろしいことができたのか?

心理学者マーティンライマンとフィリップジンバルドーは人に恐ろしい行為ができる理由について、没個性化と非人間化という二つの過程が重要と主張します。
没個性化は自分自身の匿名性に気付いた時に起こる。非人間化は他者を人間として見ることを辞め、人間以下の存在とみなした時に起こる。仮想敵を過度に単純化して分類することは、人を惹きつけて危険なイデオロギーが簡単に生まれる。脳の複内側前頭前皮質が不活発になれば道徳的判断に問題が起き、犯罪や反社会行動を行いやすくなることがわかった。脳スキャンではヒトラーの脳も一般人と何も変わらない。

それではだれでもサディズムになるのか?

サディズムは驚くほどありふれた存在なのです。実験により普通の人の多くは生き物を殺すことに快感を感じることがわかった。

攻撃性には小さくふわふわした動物を苦しめたくなる奇妙な感覚はよく起こることが研究結果でわかった。(キュートアグレッション)この感情は正常なもので適応力のある人間が持つ特性の副産物です。

攻撃性と血糖値の関係は血糖値を維持することが攻撃性を低下させ、人との対立を減らします。従って誰かと口論したくなったらチョコレートを食べましょう。怒っていることを意識しながら。

攻撃性そのものは人格の欠点ではないです。特質ですらないです。人間であるから生じ、誰でも持ち得る感情や行動の集まりに過ぎない。攻撃性は普通のものであり、悪ではないです。とはいえ、攻撃的になりやすい特質(サイコパシー、サディズム、ナルシシズム、マキャベリズム)はダークテトラドと呼びます。

最新の脳画像検査からわかってきたのは、サイコパス的な行動の根本には異常な脳活動があります。両側前頭前皮質及び右側扁桃体の脳活動に異常があります。脳の意思決定を行う部分と感情面を担う部分どちらもうまく働いていない。しかし、ヒトラーやサイコパスの脳をのぞいても彼らが攻撃的になるとは断言できないのです。サイコパスが皆んな犯罪者になるわけではないのです。

ナルシシズムの特徴は自己の過大評価、自己中心性、虚栄心、自惚れです。ナルシシズムは2タイプに分類され、誇大性と虚弱性で虚弱性の方が攻撃性があります。

マキャベリズムは目的のためなら進んであらゆる必要な手段をとる人です。

これら一見嫌なものに感じる特質も、じっくり見ればなんらかの価値が見つかるかもしれません。そういった特徴こそが成功に導きます。

以上から邪悪な脳、邪悪な性格、邪悪な特質といったものは存在しないのです。心理検査を受けさせ、レッテルを貼ることはできてもそれまでです。ヒトラーでさえ、神経学的分析の結果からいえば、私たちと違わない人間なのです。

では、あなたと殺人犯の違いは何か?

殺人願望の心理学

男性の79%、女性の58%は殺人をしてやりたいと思ったことがあるという結果がでました。心理学者によると、抽象的思考と仮想計画ができる人間の能力から生まれた人間の進化した心理構造の一部だと述べています。そしてこの能力を持たない人が行動に移し、後悔する。よって欲求不満に対する衝動的な対応こそ殺人の大きな引き金になります。

歴史的に見ると殺人は生物としての適応度に大きな利益があり、ライバルを排除し、競争相手を排除できるからです。

米国は銃が簡単に手に入るので他殺の発生率は高い。ほとんどは男性による男性への他殺です。男性が女性を他殺するほとんどは親しいパートナーか家族が多いです。

殺人が発生するほとんどの状況は非常にありふれたものである。殺人の再犯率は1〜3%です。

なぜ大半の殺人が男性によるものなのか?

研究者は、生まれ持ったDNA、狩猟本能によるものであると言います。しかし著者は人間には抑制力があり、攻撃的行動をしない選択もできるはず、社会が少年を勝手気ままに育てているからだし、男性にもっと攻撃性と暴力の教育を施すべきだと述べています。

テストステロンと暴力

犯罪が計画性があるほどテストステロンが高く、残忍である。しかしテストステロンは競争心に反応しやすく、競争での勝利に繋がる良い側面もある。

殺人が正しい行いになるときはどんなときか?

誰かを守るため、正義、自由、権利のために戦うときが考えられます。道徳を担当する脳というものがないために、仮定の話であるかぎり、大義のため、誰かを救う為なら人を殺しても問題はない。

連続殺人犯はどうか?

最悪の殺人犯でさえ人間です。誰でも殺人願望が深刻で失うものがなければ殺人を実行する可能性があります。あなたと殺人犯の違いは前頭前皮質がきちんと機能してるおかげで他の人には抑制できない行動をあなたは抑制できることだけかもしれません。

不気味さを解剖する

不気味な人たちの一般的性質は、相手に恐れや不安を感じさせる、不気味さが性格の一部として表れている、彼らが自分に性的関心を持っているかもしれないと感じること。予測不可能な人物であること。結局のところ相手を恐れるべきかどうか自分ではわからないことに対する反応です。

まず表面的な評価は正確か?

私たちは顔写真を39ミリ秒見ただけで信頼できるかどうか直感的に判断しています。しかし実際は直感はわずかに役立つが間違うこともよくあるのです。

写真だけよりも、交流があればわずかながら相手の情報を把握できる。

不気味さは顔に表れやすく、80%が目です。

脳は原型を作るのを好む。普通の顔をしていると健康状態がよく、魅力的と考えられます。よって平均的な顔に近づくにつれ信頼性が高まる。しかし平均的な顔を超えてしまうと再び信頼度は低下する。人間は異質なものを信頼しないのだ。脳は異質な顔は
分解して認識しようとして、人間として見るのをやめる。このことが残酷な虐待など危害を加えることを可能にする。ヒトラーが危害を加えることができたのは対象を人間として見なくなったからです。

著者は過去の犯罪データから、精神障害と犯罪に関連性は弱いと結論づけている。

犯罪と精神障害はどこでつながるのか?

それは薬物乱用と関連があるらしい。精神障害は薬物乱用の危険因子であり、それが暴力の危険因子となる。この危険性は誰であれ酒や薬物を摂取すれば同様に起こる。精神障害だけで暴力傾向を強く示すことはないのです。

テクノロジーは人をどう変えるか

インターネットユーザーが多い豊かな国ほどサイバー犯罪活動が多い。サイバー犯罪が気軽に行われるのはオンラインでは相手を非人間化しやすくなるからだ。インターネットでは人間は肉体を持つ自己から解放される。その結果、感覚が麻痺する。よって誰でもインターネット環境では悪事を働きやすくなります。なので意識して良心的な消費者と創造者になることが大事です。

性的逸脱の科学

最新の結果では女性がレイプ願望を抱くことは異常なことでも珍しいことでもありません。62%がレイプを空想したことがあった。現実では忌まわしく心に傷を残すような出来事をなぜ空想するのか?それはレイプをリアルに描写しておらず、エロチックなもので現実のレイプの特徴を変えたりしている。性的に支配している行為には肉体の逞しさと背徳の要素が伴う。どちらもセクシーになり得て空想することで顕著になるからです。

願望の次のステップはポルノの鑑賞です。

男性の66%女性の41%が月一度のペースでポルノを消費している。

ポルノ消費と性的攻撃には少なくとも関連があります。ポルノを見れば見るほど性的な状況で言葉で攻撃する傾向が高くなります。脳の快楽システムにより繰り返し活性化するとポルノに対する反応が鈍くなり、もっと激しいものを見なければならなくなります。ポルノ消費が増えると脳の右線条体がちいさくなって反応が鈍くなります。かといって皆んながどんどん悪い方へ進むということではないです。

同意した成人を描くポルノの鑑賞を恥じるのをやめて、セックスの実態について話し合い、倒錯行為や違法こコンテンツに興奮する自分に気づいた時にどうすべきかを議論すべきです。

LGBTなどの性的マイノリティーのように性的に普通でない者は他の多くの面でも普通でないと決めつけられる。この状況を変えたければ話し合うことです。著者は少数派と交流し、彼らの問題を話し合えば次々と意見の変化を起こしていけます。

次は動物性愛者について、心理学的に異常な部分はないらしい。動物に性的魅力を感じることは精神疾患の兆候ではないです。自分とは違う性的な世界に住む人たちに変人、野蛮、不潔というレッテルを貼るのは簡単です。2次元にしか興奮しない人、近親相姦する人、リベンジポルノ、セックスドールに興奮する人などセクシャリティは多種多様です。

では小児性愛者はどうか?

小児性愛者に対する反応はほぼ全てが否定的です。小児性愛者について理解しないと彼らから人間性を奪い、児童性的虐待者の治療とこの種の性犯罪防止を根本から阻み悪影響をもたらす。

被害者に強く共感できる人は子供に性的虐待を加えることはない。子供への性的衝動に逆らって行動を抑え、被害者となる相手に共感できる能力こそ小児・思春期性愛者を性犯罪者にさせない最も重要な要素です。

そもそも何が小児・思春期性愛者にするのか?

調査の結果生まれつきであり、環境によるものではない性的倒錯なので防げるものでもないです。また小児性犯罪者のIQは他の性犯罪者より低いです。

集団思考の心理学

肉食を好むが動物の切り刻まれる苦しみの心理的葛藤にどう折り合いをつけるか。肉食が続いているのは食べる人のためになるからで、人は自分自身な利益を守るためなら自分に都合の良い行いを正当化しようとする。偽善も集団になれば心苦しさもそれほど感じない。企業も人に正当化させるのに工夫します。その方法は死んだ動物を綺麗なパッケージにしてしまったり、商品名(ハム)などに呼び方を変えたりして、本当の出所から切り離している。

肉食以外にも過酷な条件で働く労働に基本的に反対しながらディアカウントショップで買い物をやめないことなど言行不一致から目を背けている。

ビジネスの世界でも人は目を背けて残酷なことをしている。例えば人に代金を支払い家の掃除をさせる、代金を払って孤児を養子にする、代金を払って人の臓器を手に入れる、代金を払って代理母になってもらう、代金を払って支持政党に投票させる、代金を払って性的なサービスを受けるなど。

経営者も低賃金で酷使される労働者を人として扱わないのは所謂奴隷所有者と同じです。利益を優先させるシステムこそ、誰であれモンスターに変身させる力を持っています。

どうしたら労働者に対する冷遇や低賃金を正当化できるのか?それは例えば通りで貧しい人を見かけたらその人の努力が足りないからだ、間違った選択をしたから困窮しても仕方がないと考えるのは簡単だが、その不平等に立ち向かい、それに対して何かしようと行動し、格差を解消するように強い立場の人が行動しなければならない。

日常でも同僚に意地悪し、嫉妬の対象が災難にあえば大喜びし、私利私慾のために嘘をついたり、職権乱用、出世のための不正行為など悪事を働く。ビジネスの世界では誰でも倫理に目を閉ざす可能性があります。最近ではMeToo運動などハラスメントを表面化させ問題が明るみになった。職場を倫理的な場所にするには企業体質を変えるところから始めなければならない。人食い企業にならないように企業の人間、動物ら地球に対する見方に改革を起こすべき時代が来ている。

服従の科学

社会の問題に何もしないのは共犯と同じだ。命令に従っているとき、人は自分の行動の結果にあまり責任を感じない。人間が規則と権威に際限なく服従すれば大規模な惨劇か起こるのは容易に想像できる。
よって道徳性を人任せにしないように注意する。適切でないことをする権威者には抵抗しなければならない。間違ってると感じることを指示されたらよく考えること。特定の集団を極めて不利な立場にする文化に自分が服従していると気づくたびに声を上げて、みんながしていることをしようとする衝動をおさえて下さい。

私たちは社会として女性蔑視という価値観を断ち切れずにいる。誰もが男性が性犯罪者になることに手を貸している。男性雑誌の内容も本物のレイプ犯の思考よりも悪質です。

現実にレイプ事件は後を経たないのに多くの国で性犯罪は身近では起こらないと勝手に思っている。実際の件数はあてにならない。なぜなら大半が通報されないからだ。通報するには社会的壁が多数存在するからだ。ではどうすればいいか?それは不快な振る舞いを目にするたびに非難の声を上げることだ。些細なことでも反応していくことを積み重ねることで女性に暴力を振るう文化を正すのだ。女性をもっと一人前の人間として扱うべきです。

傍観者については突然の非常事態に多くの人は何もできずにただじっとみまもっているだけだ。その理由は理解できるが、何もしない事は悪事を働くことと同じくらい悪い事になり得る。人に害を及ぼす非常事態を目撃したら行動を起こす事。他の人がやってくれると思ってはいけない。

帰属する集団にそそのかされれば人は簡単に悪事に走る。邪悪な行いは邪悪な人だけがするものとは限らないのです。それを理解して自分自身の過激化に気づき、止めるように気に留めておかないといけない。

悪について誰もが知るべき10の事実

1人間を悪とみなすのは怠慢である。

2 あらゆる脳はすこしサディスティックである。

3 人殺しは誰にでもできる。

4 人の不気味さレーダーは質が悪い。

5テクノロジーは危険を増大させる。

6 性的逸脱はごく普通のものである。

7モンスターとは人間のことである。

8 金は悪事から目を逸らさせる。

9 文化を残虐行為の言い訳にすることはできない。

10 話しにくいことも話さなければならない。

悪について誰もが知るべき10の事実p287

まとめ

本書を読めば自分は窃盗や暴力など決してしないからと今まで考えていたが、傍観者でいるだけでそれはある意味悪事を働いていることと同じだと著者は主張していて驚き、誰でも邪悪になる可能性が常について回っていることに気づかされる。自分の倫理感がアップデートされ、行動する責任はこれまでより大きくなる。悪について考え直して、注意深く、忍耐力を持って、強くならなければならない。

著者ジュリア・ショウ ロンドン大学ユニバーシティカレッジ心理学科の科学者

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