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2030年の世界地図帳 落合陽一 要約

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はじめに

SDGs、GAFAM、中国、サードウェーブの世界を俯瞰し、2030年に向けてのビジョンを作るために必要なデジタル地政学の考え方、世界の行方をわかりやすく解説しています。

2019年現在、計算機とインターネットを手に入れた21世紀の人類は人間と自然の間にある本質的な問題に向かい合いはじめた。2019年GAFAMが世界の最先端に君臨し、中国はアメリカに並ぶ大国に成長し、世界的に異常気象が頻発し、AI技術が進歩し、自動運転の登場、ゲノム編集技術の実用化など人々の生活を様変わりさせつつあります。なのでSDGsのようにゴール年度と具体的目標を定めて行動指針を定める価値は高まっています。

2030年の日本は国民の3分の1を65歳以上の高齢者が占める国になります。日本への旅行者、電化製品などは中国の勢いが凄くて、そのおかげて経済も潤っているところも少なくありませんが、同じようなことがインドやアフリカの一部でも起こってくるでしょう。ITの最先端企業は既にインド、アフリカへの投資を始めています。

SDGs(持続可能な開発目標)という17の目標を達成する地球規模の枠組みが登場し、世界は動き出しています。

第一章 2030年の未来と4つのデジタルイデオロギー

テクノロジーと人口で未来を俯瞰する。テクノロジーの発展を含む地政学的な動向を予測する一助となるのは人口です。人口がもたらす労働力と消費は市場経済を動かし、巨大な利潤を生み出し、国家や企業を成長させるので将来推計人口は未来を予測するのに信頼性は高い。

2030年の世界に影響を与えるであろう5つの破壊的テクノロジー

1.AIなど機械学習関連技術

2. 5G

3.自動運転

4.量子コンピュータ

5.ブロックチェーン

2050年迄にテクノロジーで変わること

「食料」 食物の完全なコントロールが可能に

・フードロスを減らす

・スマート農業

・培養肉、昆虫食

「健康」 AIの活用や再生医療が進む

・ロボット手術

・血流に投じたナノマシンを使った治療

・iPS細胞による再生医療

・ゲノム編集技術

「資源」太陽光

・再生可能エネルギー、特に太陽光、風力

「都市」高密度化する大都市

・2035年には地価の大暴落

・空飛ぶ車の実現

「労働」専門職の代替が急速に進む

・弁護士、裁判官、税理士、警察官といった現場にAIが導入

・運輸業界の変革

人口、GDPは2030年以降は中国、アメリカ、インドの時代になる。その後にはアフリカが控えている。

中国が推進している国家プロジェクト一帯一路はヨーロッパ、アフリカ大陸まで到達するかもしれません。

マレーシアのクアラルンプールではアリババの技術で都市全体の交通網の効率化を図る「シティブレイン計画」が進められています。

アフリカのケニアでは都市全体にファーウェイのセキュリティシステムが導入されている。

中国は社会主義と資本主義を折衷した二層構造により資本主義を強力に押し進めることができた。

4つのデジタルイデオロギー

・アメリカンデジタル

GAFAMを中心に世界を牽引する。

・チャイニーズデジタル

国家規模のファイアーウォール(金盾)によって庇護されて成長したBATHはアメリカに迫る勢い。社債の不履行額の膨大さは中国経済の大きなリスク。

・ヨーロピアンデジタル

ITテクノロジー以外の分野に関する純粋な技術力の高さは他の企業を圧倒している。

・サードウェーブデジタル

インドやアフリカの経済発展。

落合陽一×安田洋祐 対談

持続可能な経済発展は可能か

経済発展と格差の解消は既に両立していて、この20〜30年で中国、インドの中間層の個人所得が増加し、女性の社会進出、教育レベル、幸福度が向上している。アフリカの貧困層は最新テクノロジーが普及し始めているので未来は明るい。心配なのは先進国の中間層は深刻です。コンピュータが発展してプラットフォーム化、オープンソース化、自動化で事務作業が簡略化され、労働市場の空洞化が起きたのも一因です。

リモートワークの普及によって労働が劇的に変わる。

資本主義において富裕層はお金を物差しとして利用するため格差が広がる。

ESG投資(環境、社会に配慮している企業に投資する)は伝統的に寄付文化が根付いている欧米では好循環だが、日本では寄付文化がないのでうまくいかない。

SDGsは日本では投資家や企業の行動は変化を受け入れないので根付かない。

世界的に人口が減ってきて2100年には横ばいになるので環境問題、食糧問題も自然に解決する。

第二章 「貧困」「格差」は解決できるのか?

貧困とは?お金という尺度だけでは測れません。お金が無くても食べ物があり、豊かな生活環境があれば貧困とは言えないし、インフレが進み、通貨の価値が暴落したら、いくらお金があっても物が買えず豊かでないです。

未来に開かれた可能性がないことが貧困となります。

アフリカの貧困は一部では状況は改善されつつありますが、サハラ砂漠以南は1980年から変わっていません。

東アフリカは10世紀頃は交易で盛んでした。16世紀以降は奴隷貿易、19世紀は西欧諸国による搾取される時代、アメリカとソ連の冷静時代は両国はアフリカの国々を味方に引き入れようと積極的に援助を行った。その後は民族紛争が続いているところもある。以上からアフリカの貧困の原因は人為的な理由が背景にあることも少なくない。

アフリカは資源産業を中心にしていたので他の産業を育成する必要がなく、国内産業が未発達で貧富の差が拡大した。

アフリカの国境は19世紀にヨーロッパが恣意的に定めたので国と民族が一致していないので国家への帰属意識が低く、民主主義が育たないので常に民族紛争が絶えない。

アフリカで民主化が起こって独裁者が排除されても、そこからがまた問題山積なのでアフリカで民主主義が根付くのは難しい。

アフリカのケニアで普及している電子マネー「Mペサ」はケニア全体の65%が利用している。近代的な制度が未発達な環境でもテクノロジーは直ぐに浸透できることを示している。セネガル、ルワンダなどデジタル経済化が進められています。

アフリカのような社会としての未熟さは画期的なアイデアの母体となり、一気に次世代技術を利用して経済発展する可能性があります。これこそサードウェーブデジタルの強みです。

貧困について

先進国でも貧困は存在します。絶対的な貧困は少なくても格差という相対的な貧困が問題です。

その要因は働き方が変わってきて、「ギグエコノミー」というインターネットを通じた単発、短期の仕事が広がり、誰でも簡単な登録で始められて依頼される仕事も単純な物が多いので日銭を稼ぎたい労働者が増えている。安価で保証もなくて本業になりにくいので低所得に陥ります。このような貧困が増えています。

日本で深刻な貧困はシングルマザーの貧困です。シングルマザーの殆どは派遣社員といった非正規雇用で雇用機会の制約もあり貧困に陥りやすいです。日本では女性の権利保護や社会進出が遅れていることがあまり改善されていません。ジェンダーギャップ指数(ジェンダー平等)は100位台と低いです。シングルマザーの貧困が問題ということは自ずと子供の貧困に繋がります。

高齢者の貧困は日本も問題ですが韓国も同じ問題を抱えています。アメリカンデジタル型の社会が進むに連れてそれに適応できなくなった高齢者に貧困が進みます。

教育について

教育の分野では日本は高い評価を得ています。義務教育、識字率の高さなどの教育は素晴らしいですが、大学の進学率は高くはないです。それは家庭の経済面に原因があります。そんな状況を改善するために企業が様々なコンテンツを提供し、インターネット学習が盛り上がってきています。

落合陽一×池上彰 対談

アフリカは昔よりも驚くほど成長している。どんどん投資が行われて高層ビルも建っているが経済成長させたことで権力が強くなって独裁になってしまっているところもあるのが問題です。

1985年に行われた「ライブエイド」という動きは効果は限定的に終わってしまった。

日本は援助に「有償援助」の方針ですが、ヨーロッパからは「貧しい国に返済を求めなくてもいいのでは」と批判されていますが日本にも考えがあって、返済義務を負わせた方が責任感を持って取り組むはずだという思想があるので優勝援助というやりかたをしています。

第三章 環境問題

1990年代頃までの環境問題は先進国の消費生活が開発途上国の豊かな自然を破壊すると考えられてきましたが、近年は発展期に入った途上国による自然破壊が深刻です。温室効果ガスの排出量は上位10位までに中国、インド、インドネシア、メキシコなどの新興国が入っています。

私たちは今までの人類が吸ったことのない濃度の二酸化炭素を含んだ大気を吸っています。そして世界の平均気温も上昇し続けています。

100年後の地球についての予測は、世界の平均気温は3.7度の上昇、海面上昇と、食糧危機の発生、多くの種の絶滅が予測されています。こういった規模の課題は一国では実現不可能なので国際協調が大事です。国際的な取り組みは、COP21で採択されたパリ協定です。しかし地球温暖化による環境問題はすでに回避できる段階ではなく不可避的に発生する被害をどこまで縮小できるかが問われています。

2019年現在、中国は二酸化炭素排出量で世界1位です。エネルギー政策は太陽光パネルの生産量は世界1位、累積発電設備容量でも世界1位です。一帯一路構想でユーラシア大陸を横断して電力を送り込む送電網の構想も計画されています。

2017年アメリカ、トランプ大統領はパリ協定からの離脱を表明しました。それはシェールガスの獲得に成功したからです。シェール採掘技術の独占と、シェールガスは最も二酸化炭素排出量が少なく数百年分の埋蔵量があるとされているからクリーンエネルギー政策に道が見えたからだと思われます。

アメリカンデジタルが牽引する限界費用ゼロ化で所有から共有へ考え方が移り、共感へ広がり、環境と経済成長が両立する世界になります。

落合陽一×宇留賀敬一 対談

貿易の世界ではアメリカと中国は対立していますが、エネルギーの世界ではアメリカとEUが対立しています。アメリカなりにエネルギー政策「新しいエネルギーリアリズム」で地球温暖化対策の道を模索しています。

ドイツは原発を辞めると言っているが17%から13%になっただけです。日本はエネルギー利用に占める原発の割合は1%です。実質的に日本より依存度は高いのです。フランスは75%の電力を原発で賄っています。

一説に言われている石油の枯渇は起こりえないです。

日本は中東にエネルギー依存が高いのでこれをいかに解消するかが重要です。そのためにも消費者が電力会社に任せきりじゃなく、主体的に電力会社を選び、電力会社にイノベーションを起こさせて、業界の構造を変えて自分たちが目指すエネルギーの形を求めることが重要です。

第四章 SDGsとヨーロッパの時代

今後、世界の国家と企業はヨーロッパ的な価値観のもと、その活動をヨーロッパ諸国に有利なシナリオのもとに規制されることになるのではないかと考えられる。

SDGsなど「法と倫理」による覇権を目指すヨーロピアンデジタルのもう一つの布石がGDPR(EU一般データ保護規制)です。GAFAMなどのプラットフォーマーの情報の取り扱いを規制する枠組みでアメリカンデジタルの寡占を防ごうとする考えです。

ヨーロピアンデジタルの資本主義はスイスは上手く価値を作っています。特許性の高い製品を作り、量産できない製品に文化的価値や機能的付加価値を付けて単価を上げて高い利益率を実現している。なので平均年収が高く労働時間が短いです。科学技術や工業を強みとする日本と似ていますが真逆の社会を実現しています。

日本はスーパーコンピュータの演算処理性能ランキングではアメリカ、中国に大きく差を開けられていますが、スーパーコンピュータの省エネランキングでは高いレベルにあるので限定されたルールの中ではまだ勝ち目はあります。この結果は日本が目指すべき戦い方のヒントになります。

落合陽一×池上彰 対談 2

SDGsになぜLGBTQと兵器の削減が入ってないのか?は、各国への配慮した結果最大公約数的になったためです。

SDGsは国々によって倫理観が異なるので世界全体で足並みを揃えるのは難しい。一神教と多神教の宗教観の違いもSDGs達成は難しい。

終わりに

様々な思想が存在しても二項対立でなく二つが並び立つように考えていくことが大事です。二つの全く異なる性格のものが混ざり合って違和感のあるものが出来上がり、それが発酵、醸造して新しい可能性が現れるという考えが新しい道標になるかもしれない。

SDGsを見てみると一見自分には関係がないように見えても実は出来ることと、できないことがあることに気づきます。そこで多くの人に、これなら自分はできるものを見つけて一歩を踏み出して欲しいです。

視座を俯瞰し、対立軸の中で自分を固定せず、弾力的に捉えていくことは我々が次の可能性を見出すために必要なことです。

まとめ

SDGsという2030年への世界共通の目標を軸に世界各国がどう取り組めば良いのかをわかりやすく解説しています。図やグラフが沢山あって一目で世界の現状が把握できます。アフリカの未来の明るさが印象に残ります。著者の落合陽一氏の文章も著者の他の作品より大変分かりやすくなって理解しやすいです。

著者 落合陽一 メディアアーティスト

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