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美しい国へ 安倍晋三 要約

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はじめに

本書は2006年に刊行した50万部の大ベストセラーです。戦争、拉致問題、天皇、自衛隊の海外派遣、外交、少子化、教育、保守とはなにか?について語り、闘わない政治家より「闘う政治家」でありたいと考える著者の政治理念を語っています。

第一章 私の原点

リベラルの意味は自由主義的ですが、ヨーロッパでは王権に対して市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の制度を作り上げた、他者の介入を許さないという個人主義に近い意味で使われます。これに対してアメリカは社会的平等や公正の実現には政府が積極的に介入すべきであると考える「大きな政府」を表し、1929年の世界大恐慌のときのニューディール政策を唱えた人たちが自らを「リベラル」と呼び始めたことから社会主義に近い考えを持つ人のことをリベラリストと呼ぶようになりました。なのでヨーロッパとアメリカでは真逆の概念なのです。

では著者はどういう考えかというとアメリカ流のリベラルではなく、「開かれた保守主義」です。高校時代に帝国主義打倒のスローガンが猛威を振るっていてそれに反発する形で「保守」というのに惹かれていきました。

日米安保を堅持しようとする保守の自民党が悪玉で打倒する相手は安倍晋太郎、安倍寛である。

デモ隊に囲まれた安倍寛と佐藤栄作は官邸で「安保条約というのは日本をアメリカに守ってもらうための条約なのになぜ皆反対するのかわからないよ」と言っていた。後に日米安全保障条約には日本を守るという条項はなく、奴隷的な条約であった。そこで安倍寛はこの不平等な条約を対等に近い条約にするのに奮闘している祖父を見た著者は「こんなに日本のために頑張っているのになぜ安保反対を叫ぶのか」疑問に思っていた。

著者が大学に入っても革新=善玉、保守=悪玉という世間の風は変わらず、単純に善悪の二元論で片付けることに疑問をもっていました。

著者にとって保守とはイデオロギーでなく、日本や日本人について考える姿勢のことで、長く育まれてきた日本の伝統や歴史を後世へ慎重に受け継いでいく考えを持つことこそが保守であると主張しています。

自民党は保守主義の理念ばかりの集まりではく、社会民主主義に近い考えの人も広く受け入れてきた政党です。

1955年に吉田茂の自由党と鳩山一郎な日本民主党が合併して自由民主党ができた。合併した理由は戦争で疲弊した経済を回復させることと、戦後、連合国によって決められた憲法を改正して、真の意味での独立を果たすことです。

経済の回復は高度成長によって達成した。しかしそれによって損得の価値が基準になり、家族の絆や地域への愛着、国に対する想いが軽視されるようになってしまいました。

著者は神戸製鋼に勤めていましたが、阿部晋太郎が中曽根内閣の外務大臣に任命された時に、父から秘書官になれと言われ、28歳で政治の世界へと足を踏み入れました。

外務大臣の父に20回程同行して同盟国の信頼関係とはいかなるものかを身近で感じた。そして

「政治家とは自らの目標を達成させるためには淡白であってはならない」と学んだ

その後細川護煕連立政権に一時明け渡すがすぐに政権復帰を果たし、改めて自民党の理念を見直す「党基本問題調査会」で期待されていた「自主憲法の制定」だが納得いくものではなかった。

そこで、自民党はもはや政権の地位にあることを目的とした政党ではなく、「こうありたいと願う国をつくることだ」と確信しました。

「自ら返りみて縮くんば千万人といえども吾ゆかん」著者の郷土の吉田松陰が好んで使った孟子の言葉。自分なりに熟考した結果、自分が間違っていないという信念を抱いたら、断固として前進すべし、という新たな決意を持ちました。

第二章 自立する国家

パスポートには外務大臣の署名で「日本国民である本旅券の所持人を通路支障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」と明記されている。国家の保護を国民が受けれるのであるから個々人も応分の義務が生じる。なので納税や奉仕の役割を担うべきである。国家と国民は敵対関係でなく、相関関係であるのです。

国家権力は国民を抑圧してはいない。無秩序にならないためにルールを設けているのです。

靖国参拝は裁判で合憲の判断が下されている。A級戦犯は便宜的に呼んだだけで国内法でも犯罪者ではない。敗戦後GHQが靖国神社をどうするかを検討するとき、マッカーサー元帥の副官が、神父に意見を求めた。神父は「いかなる国民も国家のために死んだ人に対して敬意を払う権利と義務がある。もし靖国神社を焼き払ったら、その行為は米軍の歴史に不名誉な汚点として残る」と言った。そして靖国神社は存続した。

第三章 ナショナリズムとはなにか

戦後19年、東京オリンピックで金メダル16個を獲得してナショナリズムが回復するかに見えたが、愛国心に対するアレルギーと警戒心は日本人から無くなりはしなかった。

君が代は格調が高く、スポーツの前に歌う程力強くない。なのに日の丸や君が代に良い思いを持っていない人が一部いる。フランス国歌は「暴君の地に染まった〜」や「やつらがあなた方の息子や妻を殺しに来る」「進め、進め、汚れた血がわれらの田畑を染めるまで」など激しい言葉が並んでいる。アメリカは国内は様々な価値観の人がいるが、いざ外に向かうときはアメリカ国民は国益の下に一致団結する。

外国人は帰属意識が強い。なので日本人であるというアイデンティティを持たないと心の底から外国人たコミュニケーションはとることができないでしょう。

地域社会はあなたの一部でもあるのです。この場所をきれいにすることはあなたの一部を高めていくことにもなります。自分たちの育った場所を愛する気持ちを持ち、その延長線上に国に対する帰属意識は醸成される。

太平洋戦争末期、敗戦濃厚、鹿児島県知覧の飛行場から飛び立った陸軍特別攻撃隊は国のために死ぬことを宿命づけられた。彼らは日本という国の悠久の歴史が続くことを願ったのである。今日の豊かな日本は彼らが捧げた尊い命の上に成り立っている。彼らのように国民は国家のために、時には自分の大事な命を投げ打ってでも守るべきである。国、郷土、家族を守ることでもあります。

第四章 日米同盟の構図

ブッシュ大統領はアメリカの歴史の中で際立って特異な政権ではない。

日本の戦後は安全保障をアメリカに任せ、経済を優先させた。しかし、精神的に失ったものも大きい。日本で安全保障について考えることは軍国主義であり、戦前的なものへの反発は強く、日本人の行動や心理は屈折し、狭くなっていった。

敗戦国ドイツは憲法改正を36回も行って軍備を増強していっている。

日米同盟なのに集団的自衛権を日本は行使できない。

こにらに被害が生じてからしか反撃ができない。

お金の援助だけでは世界から評価されない。

PKOに派遣しても独自に戦線を拡大していくようなことはしていない。

武器使用を制限されて海外へ行かされている。

以上の主張から日米同盟のためにも日本は軍備を海外に派遣して戦争しに行くわけではないが治安維持のためには制限なしに軍事行動できるようにしたい。

第五章 日本とアジアそして中国

日本と中国の関係は政治と経済を分離して考える原則を作るべきです。これは両国の関係悪化の歯止めになるし、抑止になる。

中国、インド、トルコ、東南アジア各国との関係を強化することで日本外交に新たな地平が開かれることになる。

第六章 少子国家の未来

福祉国家の代表であるスウェーデンは国民負担率は七割です。人口が900万人程のスウェーデンと違って日本は1億2000万人でこれから未曾有の高齢化社会に突入するので高福祉国家は実現不可能です。著者の考える福祉のかたちは、最低限の生活は国が保障し、個人、民間、地方でセーフティーサポートをしてもらって、あとは自己責任である。大盤振る舞いもしてはいけない。なぜならそれらは国民の税金だからです。

小さな政府と自立した国民という考えには賛成だが、やみくもに小さな政府を求めるのは国をあやうくする。国民に対して温かいまなざしを失った国には、人は国民としての責任を感じようとしない。そういう国民が増えれば確実に国の基盤は揺らぐ。

少子化の問題は政府が「産めよ増やせよ」といったところで、子どもをつくるかどうかは、その人の自由です。それだけに少子化対策は打ち出していかなければならない。経済的支援も必要だが、根本的に家族を持つことは素晴らしいと自然に思えるような気持ちを育んでいくことが大事。

人口が減っても労働生産性はまだまだITやロボットを活用して高めることができる。経済のグローバル化により世界中の人を相手にできるのでそのためにもFTAネットワークを広げていく必要がある。

団塊の世代は60歳で定年を迎えるが、年金受給は65歳からなので、この空白をまだまだ頑張って働いてもらいたい。企業側も同じ考えだろう。

国民は国民年金、厚生年金はちゃんと支払った方が断然得する。将来、年金は貰えないという不安は、「マクロ経済スライド」を導入することによって、安定する。年金の運用が赤字だからといって全く問題はない。

年金一元化で官民格差をなくす

社会保障は最低限の生活を政府は保障する。

医療、介護に力を入れて、国民に少しでも健康的になってもらいたい。そうすることで政府も財政的にプラスになる。お互いwin-winになる。

第七章 教育の再生

先の大戦の原因と敗戦の理由を国家主義に求めた結果、日本人の心に国家=悪という印象が植え付けられてしまった。イギリスのサッチャー首相はイギリスの精神を鍛えなおすために教育に大変革を起こした。日本の教育も思い切った改革をしたい。

アメリカの若者は70%が国に誇りを持っている。日本の若者は50%が国に誇りを持っている。この結果から教育の再興が必要であることを示している。喫緊の課題は学力向上、教師の質も向上させる必要がある。

モラルの低下を防ぐために学校教育だけでなく、家庭でも人と人との助け合いや、ボランティアを義務化してでもモラルを醸成していく必要がある。

離婚家庭、再婚家庭、シングルマザー、同性愛カップル、など多様性を認める風潮である。たしかに家族には様々な形があるのが現実だが、子供達にはしっかりした家族のモデルを示すのが教育である。

日本は顕著な格差の拡大は見られない。過去の日本と比べれば多少格差は出てきているが、許容範囲である。全く格差がないと誰も活力を持たないだろう。努力すれば豊かになるという土壌があり、万が一失敗してもセーフティネットもあるので問題ない。問題となるのは格差の固定です。既得権益を手にしたまま、負けたものの再挑戦を許さないという社会は絶対に防がなければならない。目指すのは再チャレンジ可能な社会です。

日本は美しい自然と長い歴史、独自の文化を持つ素晴らしい国です。まだまだ進歩する可能性を大いに秘めています。日本人であることを誇りに思い、勇気と英知と努力により未来を切り開いていこうではないか。自国を卑下したり欠点を語ることばかりせず、日本の明日のために何をすべきかを語り合いましょう。

著者 安倍晋三 内閣総理大臣

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