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武器としての決断思考 瀧本哲史 要約

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はじめに

本書は著者が京都大学で学生に教えている「意思決定の授業」をまとめたものです。今後、安定や出世コースなど存在しないカオスの時代を生きていく若い世代に一番必要なのは、意思決定の方法を身につけることです。自分の人生は自分で考えて自分で決定していかなければなりません。学校も親も意思決定の方法は教えてくれません。何故なら彼らは良い時代を生きてきたので大きな決断を迫られるような場面にあまり遭遇してこなかったので筋道をたててその方法を教えることができません。なので本書では仕事、家庭、人生など自分で答えを出す思考法を解説しています。

ガイダンス なぜ「学ぶ」必要があるのか?

知識だけでは役に立ちません。知識を持って判断して行動できて価値があります。知識を持ってるだけでは誰でも替りがいるので会社の業績時代で真っ先にクビになります。このような交換可能な人材を「コモディティ人材」と呼びます。

失敗しても間違ってもいいから自分が得た知識を使って判断して行動に日常的に役立てるべきです。

エキスパートといわれる専門的な知識、最先端の技術を持っていたところでその技術は産業構造の変化であっという間に過去のものになります。専門的な知識や技術を基に変化に対応して、相手のニーズに合ったものを提供できるプロフェッショナルを目指すべきです。変化に対応できないとこれからの時代は最大のリスクになります。

1時間目 「議論」は何のためにあるのか?

意思決定の際に大事なのはディベートの考え方です。ディベートは、あるテーマに対して議論を戦わせます。その中で賛否両論を頭の中で整理する必要があるのです。この思考法は個人の意思決定に有効なのです。テーマを主観から判断することを、まずは横に置いといて、客観的に捉えて全体像を把握して最終的な判断を下すための理由を得るのです。

議論に特定のルールを加えたものがディベートです。

ディベートは正確を言い合うのではなく、最善解を導きだすのです。

議論することが大事な理由

・現状維持が楽なので、わからない時は現状維持になりやすい。

・限られた情報や枠組みで考えてしまう。

・サンクコスト(それまでに費やした労力)を見限る事ができなくなる。

以上のような問題があるので一人で考えると偏った答えになるので、議論した方が、考えを修正できて、より優れた結論に導く事ができるのです。

ディベート思考で重要なのは、どういう結論をだしたかということより、どういった思考を経て結論に至ったかです。そうすることで前提や根拠が違っていた時に修正できるのです。

実社会ではルール、状況が変わるので修正能力は必須です。

ブレないことが素晴らしいのはスポーツのようなルールの変わらない世界だけです。

ブレない生き方に価値はなく、思考停止になります。

優れた人は間違いがあればすぐに改めて行動を変えます。

2時間目 漫然とした問題を「具体的に」考える

漠然とした問題はディベートの論題にはなりえません。二者択一、やるかやらないか、といったくらい具体的なものであるべきです。そうすると思考が拡散せず、必ず結論にたどり着きます。

何か大きな問題について考えなくてはならない時は、問題を小分けにして、同時に2つか3つの「議論すべき論題」について考えていけるように習慣づける。

どうでもいい議論に時間をかけることは、やめましょう。

3時間目 どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する

ディベート思考の考え方はある行動を取った時に生じるメリットとデメリットを比較します。

メリットが成立するための「3つの条件」

1.内因性 何らかの問題があること

2.重要性 その問題が深刻であること

3.解決性 問題がその行動によって解決すること

以上の考えを習慣にすると自分で自分の主張が正しいかどうかをチェックできるだけでなく、相手を説得することもできるし、だまされにくくもなります。

デメリットの3条件

1.発生過程 論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程

2.深刻性 その問題が深刻であること

3.固有性 現状ではそのような問題が生じていないこと

論題の行動を実行したらどんな悪い事が起こりそうか考えてみなければなりません。

4時間目 反論は、「深く考える」ために必要なもの

反論することは口答えではないです。あくまで否定しているのは相手の意見や主張であり、相手の人格ではありません。

反論はメリット、デメリットのそれぞれ3条件に対して行う。

反論はそれが正しいかどうかをチェックすることに他なりません。

意見や主張には必ず根拠が必要です。その根拠は反論に耐えたものでなければいけないのです。

5時間目 議論における「正しさ」とは何か

4時間目までで反論に反論を重ねて突き詰めて行ったら、最後に判定(根拠の優劣)を行ってどちらの主張が正しいか決めます。

正しい主張とは、主張に根拠があり、その根拠が反論に耐え抜いたものです。それを最善解として扱います。賛否両論あるから決めないのはダメなパターンです。必ず暫定的な結論まで持っていくのです。

情報をコントロールする悪い考えの人は賛否両論をばらまいて議論をごちゃ混ぜにして、結論を先延ばしにして現状を存続させたりします。

主張と根拠を繋ぐのは「推論」です。根拠と推論に次から次へと反論をすれば殆ど「詰み」ます。これは相手を簡単に論破してしまえる方法です。

頭のキレる人との会話でも、たとえ特定の知識がなくても相手の話をよく聞いていれば会話の糸口は必ずあります。

推論的思考の考え方

1.演繹 普遍的な前提から論理的推論によって個別的な結論を導き出す。しかし、間違った結論や詭弁を生みやすい。

2.帰納 演繹の逆で、幾つかの個別の事例から、論理的推論によって一般的・普遍的な結論を導き出す。しかし、いくら個別の事例を挙げたところで、結論が絶対に正しいとは言えない。

3.因果関係 原因Aがあるとき、結果Bが起こる。よってAとBには因果関係がある。しかし、「因果関係が逆」、「相関関係と因果関係の混同」、「特定の原因にのみ着目する」に注意する。この因果関係が一番詭弁を生みやすい。

ディベートは自分の主張を通すことに重点が置かれがちですが、自分の主張を無理矢理通そうとしている人に反論することのほうが大事です。

6時間目 武器としての「情報収集術」

ディベートにおいて自分の主張を証明、補強する材料を集めます。

情報(証拠資料)の集め方

マスメディア、ネットの情報を鵜呑みにしない。まず、「裏」をとるのではなく、「逆」をとります。あえて逆の意見を集めてみるのです。それから両方比べて判断する。

インターネットで調べる場合は、原典に当たること。もっと良いことが書かれてることがあります。また、「ネットでヒットしない=情報がない」ではないです。

メディアや風評を信じるのではなく、自分の頭と足を使って確認すると間違いないです。

証拠資料への反論を考える

1.資料の拡大解釈

2.想定状況のズレ

3.出典の不備

4.無根拠な資料

独自調査としてのインタビューでのポイント

・全ての人はポジショントーク(自分の立場で物を言う)

・結論ではなく、理由を聞く

・一般論ではなく例外を聞く

・的確な質問をしない

・論理的に反論しない

バカを装って相手を油断させた方が本音を引き出しやすいです。相手を警戒させないことです。

情報に接したら、それが本当かどうかをまず疑うことが大事です。

7時間目 「決断する」ということ

「正しい」というのは「最善解」であって「正解」という意味ではないです。

メリット、デメリットの「質」と「量」と「確率」の3つの重みを判断することで確かな決断ができる。

最初から主観的に物事を決めるのではなく、一度、客観的に考えてから最後は主観で決める。これがディベート思考です。

絶対解や真実を求めようとすることは「誰かの決めた正解」や、すでに役割を終えた「古い意思決定」に頼ってしまうという危険な考え方、生き方につながります。

まとめ

思考することの大切さ、いかに普段から簡単に主観で考えてしまっていることを気づかせてくれます。細かく具体的に、しかも沢山の例題で深く考える方法を解説していて大変わかりやすいです。

「AI vs教科書が読めない子供たち」の著者の新井紀子氏の主張する読解力を身につける具体的な解説になっています。

歴史小説家の加治将一氏も共通の思考の大切さを主張しています。

読書とは格闘技です。さらっと読んで終わりにするのでなく、著者の言っていることを1ページ1ページ、咀嚼しながら読むことが大事です。

ディベート思考を身につけることにより物事を多角的に見ることができ、世間に溢れている間違った情報やフェイクニュースなどに左右されない、自分で思考して判断して、行動、修正していくことによって最終的に人間を自由にすることができる素晴らしい本です。

これほどの素晴らしい本を出版した著者ですが2019年に47歳で死去したのは大変残念です。

著者 瀧本哲史 京都大学客員准教授、エンジェル投資家

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